『ゲーム障害』が病気として認められた現在

『ゲーム障害』が病気として認められた現在

最近の”ゲーム”に対する世論の変化

近年、スマートフォンが普及し、e-Sportsなどが認知され始め、世界的にゲームに対する見方が変化してきました。

同時に、ゲームの魅力を知る人も増えましたが、そのデメリットについて知る機会も多くなったことでしょう。

昔から、親にとってゲームは大敵として扱われていました。現在も悪い印象を持つ方は多くいます。

 

ゲームは楽しく時間を過ごす素晴らしい手段です。

しかし、適切に使用しないと学校や会社、交友関係などの日常生活に支障を来す場合も少なくありません。

これらの事象について、WHOは正式に『ゲーム障害』という病気の一種として認めました。

 

ゲーム障害とは?

2018年6月、WHO(世界保健機構)が『ゲーム障害』を国際疾病分類として追加しました。

『ゲーム障害』は、ギャンブルと同様の”中毒性行動による障害”として扱われています。

 

ゲーム障害に見られる3つの兆候

WHOが発表した病気の判断マニュアルでは、主な兆候として3つが挙げられます。

  1. ゲームによってコントロールを失う(ゲームがやめられない等)
  2. ゲームを最優先して行動する
  3. ゲームによって不利益(学校や会社に遅刻する等)が発生しても、ゲームを継続する

※第6章(Mental, behavioural or neurodevelopmental disorders)に記載

これらが1年以上続いた場合、障害として認められると記載されています。

 

どうしてゲーム障害になるの?

子供がゲームをやりすぎた場合、親は”ゲームをやめなさい!”と子供に対して怒るでしょう。

これはインフルエンザに感染した子供に対して、”どうしてインフルエンザに感染したの?やめなさい!”と叱りつけていることと同様です。

少し極端な例でしたが、『ゲーム障害』が病気として認められた現在、このような認識が正しいのかもしれません。

ゲームに限らず、インスタグラムやLINE、YouTubeに依存するような症状もあります。

 

本人は決してそれらが楽しくて続けているわけではありません。

本人の脳内には、中毒性のある行動により快感物質が発生します。

その行動により快感物質が存在することが当たり前となり、快感物質が存在していない状態が異常だと判断してしまいます。

このような依存の原因は、不安や緊張を和らげたり、嫌なことを忘れたりするためだと言われています。

そのため、中毒性のある行動を行い、自分の意志ではやめられなくなってしまうのです。

 

ゲーム障害はどうやって治すの?

風邪を治したい時と同様に、やはり専門家に相談することが最善策です。

国立病院機構 久里浜医療センターは、2011年7月に国内で初めて『インターネット依存』の専門外来を開きました。

同病院の樋口進院長は『ゲーム障害』について以前より問題視しており、WHOに正式な病気として認めるように訴えていました。

その結果、院長の言葉が1つの要因となり、WHOは『ゲーム障害』を正式な病気として扱いました。

まずは、早くから処置を続けている久里浜医療センターに相談してはいかがでしょうか。

 

まとめ

『ゲーム障害』は、なかなか扱いにくいテーマではありますが、ゲーム業界の発展のためにも上手に付き合っていきたいものですね。

 

私自身も『ゲーム障害』に近い症状だったと思います。

プロフィールにも記載していますが、ある作品を1000時間以上プレイしていました。そのほかにも800時間程プレイしている作品もあります。

 

また、ゲームをプレイする時間は有益ではないという意見もあります。

在米ジャーナリストのマルコム・グッドウェル氏の著書に”1万時間の法則”という言葉があります。

“1万時間の法則”とは、人が何か特定のスキルを身に着けるために必要な時間のことです。

ゲームの時間を、学校の勉強や資格の勉強に費やして“1万時間の一部”にしていれば……。

または、趣味の時間や、旅行に行ったほうがもっと有益な時間になるのに……。

と考える人もいるでしょう。(私が実際に周囲の人から上記のようなことを言われました笑。)

私もそう感じることもありますが、ゲームのすべてを否定するわけではありません。

ゲームから様々なロジックを学び、癒しを感じることなどもあります。

 

最近では、『ゲーム障害』についての異論もよく耳にします。

その1例として、『ゲーム障害』という病気のレッテルを貼られることに対する否定的な意見がありました。

このような賛否様々な声が出始めたことに私は嬉しく思っています。

現在では”ハラスメント”という言葉が世の中に浸透しています。

モラルハラスメント、パワーハラスメント、セクシャルハラスメント、アカデミックハラスメント等と多くのハラスメントが存在します。

しかし、30年前にはそのような言葉はほとんど使用されていませんでした。

ハラスメントという言葉が世間に認知され始めて、ようやく被害の声が聞き入られるようになったのです。

『ゲーム障害』も同様です。

『ゲーム障害』について悩みを持つ人が世間に認知される環境が整いつつあるということです。

 

2019年1月11日には、「厚生労働省が『ゲーム障害』について初めての実態調査に乗り出すこと」についてのニュースが発表されました。

今後、国としてもこの問題に取り組んでいく姿勢が見られます。

これから、多くの人がゲームに対してさらに理解を深められると良いですね。

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